デッカの客

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シャツの襟にスカーフをのぞかせたダンディな客は、カートリッジは「デッカ」と申されて、
タンノイと御自分のオーディオの違いを注意深く観察されている。
三度目になる時は『マタイ受難曲』を二つ持ち込まれて、当方のマタイ受難曲とも聴き比べ、
音の秘密に興味を持たれていた。
マタイの全曲は約三時間の大曲で、当方はアリアとコラールの有名どころを、
バッハには畏れながら摘み聴きする。
この教会堂の壮大な合唱はタンノイロイヤルに、はまり役である。
「デッカの客」は金田アンプのことを少々口にされて、
「最近はCDばかり聴いていましたが、LPもやはり良いですね」と、
一度は仕舞っていた押し入れの奥からレコードをいろいろ取り出されたご様子が想像された。
デッカのカートリッジをアームに装着するこだわりに、そうとう深いオーディオの歴史があるのかもしれない。
royceのカートリッジはSPU-AE。
ホールドピンが下に付いて、オーバーハングの合致したアームは下側にスリットが切ってある。
SPU-Gのピンが上にあるのは同じ理由で、誤った装着を防ぐため。
上下にスリットが切って有るのは便利であるものの、強度に疑問がある?